青年海外協力隊として、ミクロネシアのヤップ島に派遣中社員の日記。
インフォニック、ヤップ支社長を僭称しつつ活動中。

※僭称:勝手に身分を越えて上の称号を自称すること(広辞苑より)

公開日:2009.10.23

家庭と仕事

タカシ株暴落

前回に書かせていただいたとおり、先月、妻が2週間、ヤップに滞在しました。
前回、5月に妻が来たときには1週間の滞在だったので、僕も1週間の休みをもらいましたが、
今回は2週間と少し長い滞在だったので全て休むわけにもいかず、
最初の1週間は、妻をステイ先に残したり、
他のボランティアの方の活動の見学に行ってもらったりして、僕は職場に行きました。

そうやって職場に出た最初の日、いつも通り僕が一番乗りで、
その後しばらくして、ユージンさんが出勤してきました。
そしてユージンさん、僕を見るなり、ものすごく怪訝な顔で
「ジュンコ(妻の名前)は?今週と来週は休んでええって言うたやん」って言いました。
僕がいくら「妻は他のボランティアの見学に行っている」などと説明しても納得してくれませんでした。
その後、裁判所のシステムのメンテナンスの帰り、ユージンさんの妹のナミおばちゃんに出会いました。
ナミおばちゃんも、僕を見るなり怪訝な顔つきで「どうしたん?ジュンコは?」って言いました。
更にその後、銀行へ行った際、ユージンさんの奥さんのジョアナさんと出会い、
ジョアナさんもやはり怪訝な顔つきで「ジュンコは?」って‥‥
みんな「はるばるやってきた妻をほったらかしにして何で仕事なんかしてんのん?」って気持ちみたいです。
タカシ株、この日一日で大暴落です。もともとそんなに高くなかったけど。

左から、エミィちゃん、エムジェイちゃん、妻

早退連発

随分、前の話ですが、まだユージンさん一家と一緒に住んでいて、
ユージンさんたちが別な土地に新しい家を作っていたときの話です。
ヤップの人たちは、基本的に自分の家は親戚等に手伝ってもらって自分で作ります。
土台になる柱を埋め、その上に床を張り、壁となるベニアを張り、天井部の柱を組み、
その上に屋根となるトタンを張る‥‥とても手際よく作られてゆきます。
子供たちも容赦なく借り出され、その中で家の建て方を学ぶようで、
ヤップの男なら大抵、家の建て方を知っているそうです。

で、そんな家を建てているころのユージンさん、家を建てるために早退連発でした。
毎日、2時とか3時、ひどいときには午前中で帰ってしまいます。
正直、職場の同僚として腹がたちました。
給料もらってる公務員のくせに無断で早退とは何事やと思いました。
ユージンさんはヤップで数少ないコンピュータ技術者の一人で、
彼がいないと滞ってしまう仕事も多いです。
(技術的なことだけやったら僕でも対応できるけど、書類の手続きやお金の絡むことはどうしようもないので‥‥)
同じ人が何度もコンピュータセンターに訪ねてきては、ユージンさん不在でむなしく引き上げてゆきます。
彼らもさぞ腹立たしいだろうと思いきや、そうでもないようです。
「彼は今、家を建てている」と言うと
「それは素晴らしい」みたいなことを言って、納得顔で帰ってゆきます。拍子抜けです。

家を建てているところ。

家庭と仕事

ヤップでは、断然、家庭>仕事です。
仕事より、子供の学校の送り迎えが優先されるし、家のための買い物のほうが優先される。
それは当然のことで、仕事を優先させる人のほうが少数派です。
日本やと、どうしても逆の傾向にあるのでかなり戸惑います。
つまり、日本からはるばるやってきた妻を放ったらかしで仕事なんて最低の男なのです。

正直、ヤップで仕事を始めてこのことで腹立たしい思いをすることが度々ありましたが、
ステイ先で暮らしていて少しずつ分かってきたことは、お金が無くてもやっていけるし、
お金を稼ぐだけではやっていけんということです。
食べ物は、タロやパンの実、バナナ、ココナッツなどを自分の土地で採るし、家も自分で建てる。
そういう生活の中で、タロの作り方を知らんとか、ココナッツの木に登れんとかは致命的やし、
家の建て方知らんのも辛い。
そう考えると、いわゆるお金を稼ぐための仕事が後回しにされるんは当然のことなんかも知れん。
分かってんねん。分かってんねんけど、やっぱり腹立つ。日本人やし。